各地で梅雨入りの報告がありました。
梅雨の時期は「雨が降るかも…」ということで、登山をためらう人は多いと思います。
雨による体や荷物の濡れ、登山道のぬかるみによるスリップや靴・ズボンの汚れ、ガスや視界不良による道迷い。たしかに快適とは言いにくい条件です。
一方で、梅雨の山には、人が少なく静かで落ち着いた雰囲気があります。緑が濃く、苔や緑がしっとりと映え、晴れた日には見られない景色に出会えることもあります。
これは岐阜県納古山(のこやま)からの眺め。
当日の天気予報は一日中雨か曇りというものでしたが、雨はぽつぽつ降った程度。レインウェアは着ずに済みました。
360度の展望の山頂に到達すると、低山とは思えないような雲海が広がっていました。
いつもは混んでいる納古山の山頂には誰もおらず、雲海の絶景を独占できました。
こんな体験をできるのも雨だからこそ。
雨の日登山の注意点
もちろん雨には雨の危険があります。
- 濡れによる冷え: 低山ではあっても、濡れることで体温はどんどん奪われます。6月といっても油断は禁物。登山用のレインウェアは必須。レインウェアの袖の面ファスナーはしっかりと締めてください。気になる方はリストバンドを装着しておくと、雨が伝って腕や脇が濡れることも防げますよ。
- スリップ:普段ならなんでもないような道であっても、濡れによって滑りやすくなります。泥、岩場、木の根っこ、落ち葉など、普段より慎重な歩き方を心がけて。
- 地盤の緩みによる落石・土砂崩れや倒木:雨が長期間続くと地盤が緩み土砂崩れが起こることも。特に急な沢地形は長時間留まらないよう気をつけたいですね。また、倒木によって林道が通れない、なんてこともあります。
- 視界不良による道迷い:ガスや雨により視界が確保できず、重要な分岐を見落として現在地をロストすることも。登山アプリの準備はお忘れなく。
この雨が小雨で済むのか、大雨になるのか、山岳気象を学んで備えよう!
天気予報の多くは山の天気ではなく、麓の天気。麓では温かい予報でも、山では冷たく強い北風とガスに巻かれることもあります。
6月上旬の三重県鈴鹿山脈藤原岳登山でのこと。登山の前日に寒冷前線が通過。登山当日の朝、麓では風は強いものの晴れており気温は20度ぐらいでしたが、8合目より上では気温は10度ほど、風速5m以上の冷たい北風にさらされました。防寒着はもちろん、手先の寒さ対策としての防水手袋も準備していたため、問題はありませんでした。
防寒対策をしていなかったらどうなっていたことか。麓と山頂では天気が違う、という実体験でした。
特に梅雨の時期は、梅雨前線に対してどの位置にいるかによって、警報級の大雨になるか、穏やかな小雨になるかが大きく異なります。
梅雨の気象の特徴と登山中にどう備えるか、そういった基本的なところからお伝えする気象講座をオンラインで開催します。
- 梅雨前線の特徴
- 地形と雲の関係
- 現場で役立つ判断のポイント
- 中級編では、高層天気図を使って、より的確なリスクを把握する方法
など、これからの季節にすぐ使える内容です。
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