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冬山のロープワークとリスク対策@八ヶ岳を開催しました

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[18-19冬][3/16-17]冬山のロープワークとリスク対策@八ヶ岳 を開催しました。やまスクの北村が講座の模様をレポートします!

硫黄岳山荘グループの山小屋に泊まるなら、車の送迎がオススメ!

初日は唐沢鉱泉・桜平分岐にて羽場崎ガイド、参加者の方と集合。
今回は根石岳山荘に泊まるため、車での送迎をお願いしました。
送迎区間は「唐沢鉱泉・桜平分岐」から「桜平駐車場」のゲートまで。これは無雪期なら歩いて2時間ほどかかる距離ですので、その分の時間も体力もセーブできて大変ありがたいサービスです。
また、「桜平駐車場」のゲートから夏沢鉱泉までは歩いて30分ほどですが、この時に荷物のみ車で運んでもらうこともできます。空身で歩けるのでこちらも嬉しいです。
 

*送迎の詳細や条件などは根石岳山荘や夏沢鉱泉のWebサイトをご確認ください。
根石岳山荘の冬季情報
夏沢鉱泉の送迎情報

まずはアイゼンなしで、基本の歩き方から

「桜平駐車場」からはツボ足(アイゼンやスノーシューなど着けずに)歩きはじめます。道は圧雪されているので沈み込むことはありません。が、車の轍は凍っており、雪道の起伏に少し滑りそうになったり。
羽場崎ガイドからは、「足の裏をすべて地面につけて、歩幅を小さく」というアドバイス。足の裏すべてをつけることで靴裏のミゾで雪面をグリップでき、滑りづらくなります。また、歩幅を小さくすることで足裏と地面が接する面積を広く保ち、また、動かす筋肉を小さくできるため、疲れづらくなります。
この歩き方は、ツボ足はもちろん、アイゼンを着けた時でも、また、無雪期の登山道でも通じる歩き方です。ぜひ身につけましょう。

立ち寄るならぜひ食べて欲しい!夏沢鉱泉のカレーライス

30分ほど歩いて夏沢鉱泉に到着。
こちらのカレーはスパイスがしっかりと効いていて、具だくさん。味もボリュームも大満足です。登りの行程ではゆっくりと味わう時間がないかもしれませんが、下山途中、送りの車の時間を待ちながらぜひご賞味ください。

開けた斜面は気持ち良くて腰を下ろして休憩したくなりますが…

歩きながら雪の状況や地形を観察します。
上の写真の場所は、山側も谷側も開けた箇所。樹林の中を歩いてきたこともあり、樹林が途切れ視界が開けて「ちょっとここで休憩しようかな」と思うところです。
が、いくつもの雪玉が転がっていることから分かる通り、ここは急斜面で、雪崩のリスクがある地形と言えるでしょう。

似たような地形は色々なところにあります。例えば、北アルプスの横尾大橋から本谷橋より上、涸沢へ向かう途中にもこれと同じような「山側も谷側も開けた地形」があります。そこには落石注意の立て札が置いてありました。
自分が立っている場所が、安全な場所かどうか、長時間過ごして良い場所かどうか、リスクがないかを判断することが、安全登山につながります。

雪の斜面に木の影が降りかかり、独特の曲線を描いています。このような光景も冬山の魅力です。

根石岳山荘付近は強風が吹き抜けるコル地形

根石岳山荘は八ヶ岳の主稜線を少し降りたところにありますが、ここは風の通り道。風に吹かれるのは5分ほどでしたが、あまりの強風にバラクラバ越しでも顔が痛いくらいでした。
上の写真は根石岳山荘の本館入り口。左手の雪の壁が、雪深さを物語ります。

根石岳山荘の新館は、内装もきれいで布団もふかふかでとても温かく、ゆっくり体を休めることができました。

根石岳山荘では、長野で取れたお米、味噌汁のお味噌は自家製の「手前味噌」と、稜線の上の小屋にも関わらず心を尽くした料理を味わえました。

食事中、長野県飯田市出身の羽場崎ガイドからは信州の食文化を教えてもらえて、また1つ長野力が高まりました(長野出身の年配の方による蕎麦の評価、ご飯の柔らかさの傾向など、地元出身の方のみが知るお話が大変興味深かったです!)。

稜線から見る夜明け

翌朝は夜明け前に出発。根石岳山荘は稜線直下。身軽に日の出を拝みに行きます。この日は雲が多く、なかなか日が出てこない!予定より10分ほど遅れて太陽が雲から顔を出しました。冷たい強風に吹かれ続けた身には、お日様の温かさが沁みます…。

今回の最高地点、根石岳山頂で記念撮影。

下山中も、積雪が多い急斜面を見つけては、ピッケル、アイゼンを使って着実に上り下りする練習に励みます。

雪洞を掘る練習を試みるも雪が少なく断念。代わりにちょっとした”くぼみ”を作りました。中途半端に見えるくぼみですが、これだけでも十分温かいことに驚き!風を防げること、体温がこもることで、見た目以上の温かさ。もう少し奥行きをつけ、ツェルトも使えば比較的長い時間を過ごせそうですね。

最後にはサプライズゲストが別れの挨拶を

送迎のバスを待ちながら急斜面を上り下りする練習をしていたところ、そこには先客が。

10mほどの距離にカモシカが!「この人間たちは何をしているんだろう?」といわんばかりにこちらをじっと見つめていました。私はこの近さでカモシカを見たことは初めてで、八ヶ岳の自然の豊かさを実感したのでした。

冬山登山は無雪期の基礎の上に

今回の参加者の方は夏山登山の経験も少ないということで、パッキングや基本の歩き方、それに加えてアイゼンワーク・ピッケルワーク・ラッセルなど、だいぶ詰め込み気味の内容となりました。

なかなかハードだったと思いますが冬山登山のエッセンスはお伝えできたので、今後は無雪期の登山の経験を重ね、次の冬山シーズンにつなげていきましょう!

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